JAN!イベント【 横浜環境保全】ごみ収集車にデザインを!

ごみ収集車にデザインを! 横浜環境保全が変えるパッカー車の未来


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横浜環境保全が手掛ける「走る広告」
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 朝、街を歩いていると、カラフルなイラストや子どもたちの絵をまとったごみ収集車(パッカー車)に出会ったことはありませんか?

 どこか裏方のイメージを持たれているごみ収集のカルチャーを180度覆し、横浜の街に「走る広告」を仕掛けている企業があります。それが、昭和47年(1972年)創業の「横浜環境保全株式会社」です。

 同社を率いる髙橋義和社長が目指すのは、単なるごみの回収業ではなく、働く社員や子どもたちが心から誇れる「地球健康貢献企業」への変革。その一つとして、デザインパッカー車をという事業も展開しています。

 そしてごみ収集車が街の条例までをも動かした、熱いストーリーをうかがいました。

【目次】
街を彩る「走る広告」:消せる塗装の特殊技術と、抜群の宣伝効果
睨み合う街から、笑顔で手を振られる日常へ
横浜から日本全国へ、業界をキラキラに変えるバトン
会社情報

街を彩る「走る広告」:消せる塗装の特殊技術と、抜群の宣伝効果

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街を清潔に守る横浜環境保全の髙橋 義和社長。

 横浜環境保全が展開する「走る広告」とは、毎日横浜の街を縦横無尽に駆け巡るごみ収集車の車体をメディアとして活用し、企業のメッセージやイベント告知を届ける広報サービスです。珍しくて圧倒的なインパクトを放つごみ収集車の広告は、街中での注目度が桁違いです。

 もともとは関西の同業企業が展開していた「アニマルパッカー」を参考に、2014年からトラックメーカーに外注する形で始まりました。1代目の「イルカのパッカー車」から地道に活動を続ける中で、大きな転換期が訪れます。

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可愛いカラーとイラストが街を彩る

 2017年、金沢区に購入した工場用の土地が近隣との兼ね合いでやむなく計画変更になり、髙橋社長は頭を抱えていました。しかし、当時走らせていたデザインパッカー車の取材に訪れた新聞記者から、「直接車体に印刷できる特殊なプリンターがある」と紹介されたのです。

「このプリントは、専用の溶剤を使えば綺麗に消すことができるんです。期間限定のイベント広告であれば、期間が過ぎたら消さなければいけませんから、まさに消せる強みを活かした新しい広報宣伝パッケージが実現できると頭にありました」(髙橋社長)

 こうして開設された自社施設「デザインプリントLAB」を軸に、同社は世界トライアスロンシリーズなどの大型イベントと連動した有料広告を展開。

 プロバスケットボール「横浜ビー・コルセアーズ」の試合告知では、来場者アンケートで「パッカー車を見てきた」という声が実際に上がるなど、抜群の宣伝効果を叩き出しています。

 また、少年野球大会の優勝チームの部旗をプリントし、1年ごとに塗り替えるといった柔軟な地域密着型の運用も、この「消せる技術」だからこそ実現しています。

睨み合う街から、笑顔で手を振られる日常へ

 街の人々を楽しませ、高い広告効果も叩き出すデザインパッカー車。しかし、なぜ横浜環境保全は、本来は裏方であるはずのごみ収集車をここまで変えようとしたのでしょうか。

 そこには、現場出身である髙橋社長ならではの、強い危機感がありました。

 現在、あらゆる業界で人手不足が叫ばれていますが、とりわけドライバーの確保、しかも「ごみ」を扱う職種となるとそのハードルはさらに上がります。

「本来であれば、誰もが進んで就きたいと思う職業ではないかもしれません。しかし、誰かがやらなければ社会は成り立たない仕事です。それなら、どうやって魅力的な業界にしていくかを考えたとき、次の世代である子どもたちに興味を持ってもらうことに行き着いたんです」

 そこで髙橋社長がミニカーの過去の販売統計を調べると、驚くことにごみ収集車は「働く車」の人気部門で、第3位にランクインしていました。

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創立50周年を記念して作られたミニカー。

 子どもたちには絶大な人気がある一方で、現実の街を走るごみ収集車のイメージには、まだ大きなギャップがありました。

「私も現場出身でずっとごみ収集車に乗っていましたが、当時はボコボコの車ばかりでした。現実のごみ収集車は、子どもたちが興味を持つどころか、むしろ街の中で脅威に感じられている存在だったのかもしれません。だったら、この車体に子どもたちの絵を大きく描いたら、もっと目立って素敵になるんじゃないかと考えたんです」

 そんな閃きから2014年にスタートした取り組みは、街の景色だけでなく、働くドライバーの表情をも一変させることになります。

「よく散歩をしている保育園の子どもたちが一斉に手を振ってくれるようになったんです。大人が、子どもの集団から笑顔で手を振られる機会なんて普通はありませんよね。それが、うちのドライバーの日常になりました。

 ボコボコの車に乗っていた昔は、周囲と睨み合うようにして『早く終わらせて帰ろう』という空気で走っていたんです。それが今では、みんな笑顔でハンドルを握っている。この意識の変化だけでも、本当に大きな価値があると感じています」

 子どもたちを、そして街を笑顔にするデザインパッカー車。ですが、髙橋社長がこの事業を通じて本当に変えたかったのは、ごみ収集という「職業そのものの社会的地位」でした。

 社長は、就任当時から抱いていた熱い想いをこう切り出します。

「今の社員やその子どもたちには、業界の古いイメージで嫌な思いをさせたくないですし、この職業自体を誇りあるものにしていきたいという想いが強くありました。『社会、そして子どもたちの誇れる会社にする』。じゃあ、誇れる会社にするためにはどういう取り組みがいいんだろうという観点から、これまで色々な事業を進めてきたんです」

横浜から日本全国へ、業界をキラキラに変えるバトン

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近隣の中学校で開催されたデザインパッカー車コンテスト。

 地道に積み重ねてきたイメージ刷新の挑戦は、やがて横浜の伝統行事、そして行政までも動かす大きなうねりとなっていきました。

 伝統ある「ザよこはまパレード」では、大人気キャラクター「パウ・パトロール」をデザインした車体で参加し、大きな話題を呼びました。

「行政の消防局や警察署、道路整備車などが並ぶ中に、民間企業であるうちのパッカー車が並んで行進したんです。これはうち単体としてではなく、業界にとってもものすごく大きな出来事だったなと思っています。沿道の子どもたちが『あ、ごみ収集車だ!』と指さしてくれて、私たちが目指してきた『子どもたちの就きたい職業ランキングに上がるような業界にする』というコンセプトに、また一歩近づけたような達成感がありました」

 しかし、ここまでの文化を築き上げるには、伝統との闘いという最初の大きな壁があったと社長は振り返ります。

「最初の1台を走らせるときは本当に勇気がいりました。スタッフに『こんな可愛い車、みんな恥ずかしくて乗れない』と言われたらどうしようかと。うちの伝統のカラーって、昔は紫に金のラインだったんです。少し硬派でいかついイメージですよね。それが急にピンクベースに青いラインのトラックになるわけですから、みんな乗ってくれるか不安でした。でも、いざ走らせてみると、『次の車は自分が乗りたいです』という声が現場からどんどん上がってくるようになったんです」

 そして2019年、同社の地道な功績が認められ、ついに歴史的な快挙が起きます。それまで「深緑色」と条例で厳格に定められていた横浜市のごみ収集車のカラー規制が、なんと「自由化」へと改正されたのです。同社のデザインパッカー車が、街の条例さえも変えてしまいました。

 インタビューの最後、髙橋社長はこれからの業界のミライを見据え、一気に熱を帯びた口調でこう締めくくってくれました。

「うち一社だけでは社会を変えることはできません。私がいくら『キラキラした職業にしていくんだ』と言っても、一社だけの取り組みでは限界があります。だからこそ、全国の同業者たちが、形は違えど独自のカラフルなデザインパッカー車を日本全国で走らせてほしい。そうすることで、業界全体の見られ方や立ち位置が変わっていくはずです。私はみんなで一緒に、この業界を良くしていきたいなと本当に思っています」

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会社情報

会社名:横浜環境保全株式会社
本社住所:神奈川県横浜市中区山下町209 帝産関内ビル8F
デザインプリントLAB住所:神奈川県横浜市金沢区鳥浜町4-9
特徴:事業系一般廃棄物の回収・リサイクルを中心に、生ごみの堆肥化「フードループ」などを推進。自社施設「デザインプリントLAB」では、特殊プリンターを用いた車両・壁面へのグラフィック塗装を展開している。
公式WEBサイト:https://www.y-kankyo.co.jp

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大沢野八千代

1983生まれ。横浜の対岸の千葉市で、横浜ナンバーに憧れを抱いて育ったフリーランスの編集者・ライター。ハマスタでササカマにかじりついているところをテレビ中継で抜かれ、家族から指摘された過去を持つ。Googleマップのランクは7。

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