【戸部・カレー】本場ネパールの味を追究する「スパイスコーナーベンジー」の哲学

横浜駅から一駅……人通りが少なく「通り過ぎる街」と言われがちな戸部。
その角地に、神奈川全土からカレーマニアが押し寄せるネパール定食「ダルバート」の店があります。
鮮やかでかわいらしい緑色の外観が目を引く「スパイスコーナーベンジー」。店主の佐々木さんは、長年、横浜市内のカレー店で勤め上げたのち、同店をオープン。
南インドやネパールの現地へ幾度も足を運び、本場の味をストイックに追究し続けています。
遅咲きの独立だからこそ行き着いた「自分を出しすぎない」という深いカレー哲学と、途切れない探求心についてお話を伺いました。
【目次】
「奇をてらわない」。40歳からの独立で見つけた「自分を出さない」哲学
現地で“裏取り”を重ねる現地のレシピ
「制限がある方が面白い」行き着いたスパイスの真理
住宅街・戸部から描く「横浜の新大久保」の夢
「奇をてらわない」。40歳からの独立で見つけた「自分を出さない」哲学

宮城生まれの佐々木さんは、横浜へ来て15年になります。飲食店に勤めた後、独立を目指して仕事を辞め、間借りカレーをスタートしたそう。
カレー作りの道へ本格的に進んだのは40歳頃。「フレンチやイタリアンの料理人は10代から修行を始めている人が多い中、自分にはそのキャリアがない。だからこそ、自分の物語を作らなければいけないと思ったんです」と佐々木さんは語ります。
おりしも何度めかのカレーブームが到来する中、開業当初は「今までになかった凄いものを作ろう」と夢想していましたが、それが勘違いであることにすぐ気づいたとのこと。
「長く支持を受けているレシピに、自分の思いつきがかなうわけがありません」
だからこそ、佐々木さんが大切にしているのは「できるだけ自分を出さない」こと。
「南インドやネパール料理という歴史ある『基軸』に忠実に作り、ブレないようにトライし続ける。その真摯な姿にお客さんは共感してくれるのではないか」と、自らのエゴを捨てたカレー作りに向き合っています。
“裏取り”を重ねる現地のレシピ

当初はポークビンダルーの専門店をやろうとして、料理教室に通い詰めたり、インドのゴアまで食べに行くなどして研究を重ねていましたが、徐々に南インド料理やネパール料理のおもしろさにひかれるようになりました。
驚くべきは、そのストイックな探求心です。
現地に足を運ぶ際に、ネットでレシピ情報が掲載されていても、「本当にその土地の人たちのレシピかわからない」と、3年連続でネパールへ渡航。現地のレストランでお世話になり、厨房を見せてもらいながら「自分が日本で作っているこの作り方で合っているか?」と、直接民族の人に裏取りをしているのです。
「制限がある方が面白い」行き着いたスパイスの真理

さらに佐々木さんは、自らに厳しい「自分ルール」を課しています。
「何でも自由に入れていいと言われるより、『この料理には絶対に生姜を入れちゃダメ』という現地のルールがある方が、ものづくりは面白い」と笑います。
レシピにない材料は使わずに、レシピの中にある材料を調整して作る工夫を凝らしています。
住宅街・戸部から描く「横浜の新大久保」の夢
物件選びにも佐々木さんの戦略が光ります。戸部駅の店舗は13坪で家賃も安め。
「固定費が高いと毎月の数字ばかり気にして、無難な商売寄りの店になってしまう。資本力に頼らず、尖ったカレーで強い目的意識を持ってもらうには、家賃の安い戸部が最適でした」
近所の一般受けは潔く諦め、東京の南側から神奈川全土のカレーマニアを呼ぶ覚悟で店を開きました。
ちなみに「ベンジー」という店名は、映画『グローイング・アップ』の主人公からとったそう。「スパイスコーナー」は「店が角(コーナー)にあるから」という直球すぎる理由です。
ストイックなカレー哲学と、こうした肩の力が抜けたネーミングセンスのギャップも佐々木さんの魅力です。
「横浜は外から来た人間を優しく受け入れてくれる街。いつかこの戸部周辺にもネパールやインドの人が増えて、『横浜の新大久保』みたいに面白いエリアになったらいいなと妄想しています」。飽くなき探求心で作られるベンジーのダルバート。戸部の角地で、今日も新たなスパイスの魔法が生まれています。
【店舗情報】
店名:スパイスコーナーベンジー https://www.instagram.com/spicecornerbenzie/
所在地:横浜市西区戸部本町13-8
平日ランチ11:00-14:00
土日祝日ランチ11:00-15:00
ディナー18:00-21:00
【水曜定休】
決済は現金と各種キャッシュレス
ビリヤニは要予約。
ディナーはワンドリンク制














