JAN!ライフスタイルGW開催・吉田町春一番ビアガーデン

吉田町の路上が巨大なパブになる! GW開催「吉田まち春一番ビアガーデン」

よこはま吉田町入口付近画像
初夏の名物になりつつある「吉田まち春一番ビアガーデン」

 5月3日、「横浜開港記念みなと祭 ザよこはまパレード(国際仮装行列)」が開催されているすぐ隣、関内駅そばにある吉田町本通りは、250メートルにわたる巨大な路面のビアガーデン「吉田まち春一番ビアガーデン」へと姿を変えます。

 今回お話を伺ったのは、本イベントを主催する吉田町名店街会の理事長・山下大輔さんと、専務理事・倉本淳哉さん。15年以上にわたり街の賑わいを牽引してきた「吉田まち春一番ビアガーデン」の魅力と、そこに込めた想いをじっくり語ってもらいました。

2026年「吉田まち春一番ビアガーデン」開催に向けて

ーー毎年ゴールデンウィークの横浜を彩る「吉田まち春一番ビアガーデン」ですが、まず改めてイベント内容を教えてください。

倉本淳哉さん(以下、倉本):「吉田まち春一番ビアガーデン」は関内駅からすぐ、吉田町を通る約250メートルの「吉田町本通り」を歩行者天国にして、名店街会に加盟している飲食店を中心に約35のブースが軒を連ねるイベントです。2010年に前身のイベントが始まってから、今年で17回目を数えます。開催日は毎年5月3日で、これは「ザ よこはまパレード(国際仮装行列)」に合わせています。

 13時から20時まで、それぞれのお店が路上にテーブルと椅子を並べて、青空の下で最高のお酒と食を楽しんでもらう。いわば、街全体が一日限定の「巨大なパブ」になる取り組みだと思っていただければ。

山下大輔さん(以下、山下):特に今年は、ただ飲食を楽しむだけでなく「アートの街・吉田町」をより体感してもらえる仕掛けを用意しています。それがエリア内の4ヶ所で行う「ライブペインティング」で、イベント開始と同時に横浜出身の若手アーティストが描き始め、夜までに一気に仕上げるのを見ることができます。

 また、2カ所のステージで行われる「投げ銭ライブ」もあって、地元のバンドがジャズやロックを演奏して、本当に盛り上がります。ステージ前で知らない人同士が乾杯したり、自由に踊り出したり。堅苦しいルールはなく、音楽とお酒を愛する人たちが自然と一体になれる、最高に平和で幸せな空間になっています。

吉田町の路上が巨大なパブになる! GW開催「吉田まち春一番ビアガーデン」の画像2
吉田町名店街会の理事長・山下大輔さん
吉田町の路上が巨大なパブになる! GW開催「吉田まち春一番ビアガーデン」の画像3
吉田町名店街会の専務理事・倉本 淳哉さん

シャッター通りから「ビアガーデン」へ

ーー「吉田まち春一番ビアガーデン」開催の歴史はどのようなものですか?

山下:吉田町は、昭和の終わりから平成にかけて「シャッター通り」と言われるほど落ち込んでいた時期がありました。隣の野毛エリアが『野毛大道芸』で盛り上がっているのを見て、なんとか自分たちも……と始めたのが最初です。そこから試行錯誤を経て、吉田町の強みである「アートとジャズとバー」を軸にした『アート&ジャズ・フェスティバル』へと進化していきました。開催当初は飲食の出店は全然なくて、手芸品やハンドメイド雑貨が並ぶイベントでしたが、吉田町に新しくお店を構える若いバーの店主がどんどん増えてきたことで、飲食の出店が自然と増えていったんです。

 大きな転換点は、歩行者天国にして通りの両サイドに店舗を並べるだけでなく、椅子とテーブルを置くようになったことだと思います。そうすることで滞在時間が延び、単なる「通り過ぎるイベント」から「腰を据えて楽しむ場所」に変わっていきました。以前はイベント会社から借りていた備品も、今は自分たちでテーブル50個、椅子300〜400脚ほど所有して、自走できるようになっています。

倉本: 自分たちで運営して経費を抑えることで、出店料も安く設定できています。その分、お店側も喜んで「いい素材を使って最高の一皿を出そう」と原価をかけられる。そういったところも、結果的に来場者の満足度に繋がっていると思います。

「吉田まち春一番ビアガーデン」過去の画像
普段の景色からは想像もつかないほど路上に人が

世界の料理とバー文化 吉田町の楽しみ方

ーー「吉田まち春一番ビアガーデン」のおすすめの楽しみ方を教えてください。

倉本: 飲食の種類は本当に幅広いです。和食や洋食はもちろん、ベトナム料理やタイ料理など世界各国の料理を扱っているところが多いです。もともと「バーズストリート」とも言われていた吉田町本通りですから、お酒も和酒から洋酒までジャンルレスに揃っています。自分たちで醸造している『横浜ベイブルーイング』さんや、海外のクラフトビールを輸入販売している『アンテナアメリカ』さんなど、ビール一つとっても、色々な種類を飲み比べられるのが特徴ですね。

 老舗の「梅や」さんの唐揚げはもちろん、ブリトーやピザ、焼き鳥、もつ煮といった煮込み料理など、各店舗が自信の料理を持ち寄っています。焼き鳥を炭火で焼いたり、ハンバーガーを直火で焼き上げたりと、チェーン店とは違う「個人店ならではの創作料理とこだわりのお酒」が揃っています。

 来場者の方からは「建物の風景や色合いがおしゃれで、歩いているだけでも楽しい」「フランスのマルシェっぽいね」という声もあり、お酒を片手に通りを歩くだけでも楽しんでいただけるはずです。

山下: まずは、生ビールやお酒を片手に、気持ち良い青空の下で楽しんでいただくのが一番ですね。投げ銭ライブも非常にレベルが高くてずっと見ているのもいいですし、疲れたら店内で腰掛けてゆっくり滞在していただくのも良いと思います。また、普段は入りにくいと感じているお店も、路上でオープンに行われている「街の試食会」だと思って、ぜひハシゴしてほしいですね。

ハイカラでレトロな吉田町

ーー「吉田まち春一番ビアガーデン」の運営を通じて、改めて吉田町とはどのような場所だと考えていますか?

山下: 吉田町は、今から350年ほど前の江戸時代に、吉田勘兵衛さんが埋め立てた「吉田新田」から始まった、横浜でも非常に歴史の古い商店街です。戦後は、すぐ近くの長者町や福富町に米軍が駐留していたこともあり、進駐軍の影響を強く受けました。

倉本: 当時は米兵さんが家族に送るための絵葉書や画材を買うお店が並んでいたり、娯楽としてジャズが流入したりしました。それが今の「アートとジャズの街」という看板に繋がっています。こうした歴史の積み重ねがあるからこそ、今のビアガーデンにも、どこかハイカラでレトロな雰囲気が漂っているんだと思います。

山下: 僕らにとって、このイベントは吉田町を世間に知ってもらうための最大のフックなんです。以前は「野毛と伊勢佐木町の間に、なんか通りがあるよね」くらいの認識で、素通りされてしまうことも多かったし、よく吉田町の「町(まち)」を「ちょう」と読み間違えられてたんです(苦笑)。でも、このイベントを15年以上続けてきたことで、「ビアガーデンのある街」として吉田町の名前が浸透してきました。

 この街の強みは、新旧がごちゃ混ぜになっているところです。老舗の天ぷら屋『登良屋』さんや『野毛おでん』さんのような重鎮の方々と、先月オープンしたばかりの若い店主が、同じイベントTシャツを着て一緒にテーブルを運んだり、隣り合って出店したりしている。この懐の深さ、多様なプレイヤーが共存していることこそが、吉田町のアイデンティティだと思っています。

吉田町の象徴的なエリア画像
人気の野毛エリアから橋をわたってすぐ!

 

ビアガーデンだけじゃない、より面白いストリートへ

ーー最後に、「吉田まち春一番ビアガーデン」や吉田町名店街会が目指す未来とは何でしょう?

山下: 今、僕らが挑戦しているのは「道路という公共空間をどう活用し続けるか」という持続可能性の追求です。これまでは商店街の会費や補助金に頼る部分もありましたが、今後は「吉田町本通り」という場所を貸し出すことで自立した収益を生む仕組みを考えています。その第一弾として、今年の8月8日には『横浜ベイブルーイング』さんの15周年イベントとして、この場所を貸し出す初めての試みを行う予定です。

倉本:「吉田まち春一番ビアガーデン」のような名店街会主催のイベントだけでなく、ストリートを貸し出すことで、もっと多様な使い方ができるはずです。例えばキャンプグッズの展示会や青空の下での学会、パブリックビューイングなど……。

 もちろん、名店街会主催のイベントも続けていきます。今年2月にはジビエフェスタを行ったほか、ビアガーデンも5月だけでなく、7月と8月の夏開催も予定しています。年間を通じて、路上という公共空間をどう面白く使い倒すか、という挑戦を続けていこうと思います。

山下: 一番の理想は、ここに来た人が「ああ、今日も楽しかった」と笑顔で帰ってくれることです。日々の疲れを癒やし、明日からの活力になるような、そんな平和で楽しい空間を全力で作ってお待ちしていますので、まずはぜひ「吉田まち春一番ビアガーデン」にお越しください!

【イベント情報】

5/3(日・祝)開催!『吉田まち春一番ビアガーデン2026』

インタビューで語られた「街全体が巨大なパブになる日」がいよいよやってきます。プロの味、アート、ジャズが交差する吉田町ならではの開放感を、ぜひ現地で体感してください。

開催日:2026年5月3日(日・祝) ※雨天順延:5月4日(月・祝)

時間:13:00〜20:00

会場:中区 吉田町本通り(関内駅・桜木町駅から徒歩すぐ)

内容:

吉田町名店街加盟店による約35の飲食ブース
エリア内4カ所での「ライブペインティング」
2カ所のステージでの「投げ銭ライブ」

吉田町名店街公式サイト:https://yoshidamachi.org/2026/04/19/1355

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小神野真弘

日本大学芸術学部文芸学科准教授、ジャーナリスト、フォトグラファー。1985年生。日本大学芸術学部、ニューヨーク市立大学ジャーナリズム大学院修了。 朝日新聞出版、メール&ガーディアン紙(南アフリカ)勤務等を経て、大学教員の傍らフリーランスの記者として取材・執筆を行う。専門はメディアスタディーズ、多文化共生やコミュニティ・人権にまつわる諸問題など。諸外国のスラム街に滞在して写真撮影することをライフワークとし、約50カ国を訪問。著書に『アジアの人々が見た太平洋戦争』『世界最凶都市ヨハネスブルグリポート』(ともに彩図社)など。

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