JAN!イベントプロが教える「ザよこはまパレードの歩き方」

序盤のフレッシュな音圧か、後半のパワープレイか…プロが教える「パレードの歩き方」

楽団とパレード画像
地元企業から旬なイベントのフロートまで!横浜経済の今がひと目でわかる!?

 横浜市民のゴールデンウィーク・イベントのひとつといえば「開港記念みなと祭 ザよこはまパレード(国際仮装行列)(以下、よこはまパレード)」(リンク:https://www.yokohama-cci.com)ですが、その華やかな行列の裏側に、どれほどの「ハマっ子魂」が詰まっているかご存じですか? 70年以上の歴史を持つこの祭りは、単なるイベントではなく、横浜という街が困難を乗り越えてきた証でもあります。

 今回は、長年パレードの運営に携わり、馬車道商店街のリーダーでもある「アート宝飾」の六川勝仁様にインタビュー。公式サイトには載っていない、プロだからわかっているパレードの見どころを教えていただきました!

 全国トップレベルが集結!

「横浜消防」のマーチング画像
GW、マーチングの音楽が横浜市内に鳴り響く!

 「開港記念みなと祭 ザよこはまパレード(国際仮装行列)(以下、よこはまパレード)」の最大の見どころといえば、華やかなフロートと並んで欠かせないのが、地を這うような重低音と躍動感あふれる旋律を奏でるマーチングバンドです。しかし、これが単なる「行列の音楽」ではないことを、ご存知でしょうか?

 「うちのパレードに参加するマーチングバンドは、どのチームをとっても全国レベル。金賞を受賞してくるような、クオリティの非常に高いチームばかりなんです。だからこそ、ただ歩いているのを見るのではなく、その『音』を全身で感じてほしいですね」(六川氏)

 特に、横浜という土地柄を象徴するのが米軍軍楽隊の存在です。彼らの演奏には、プロの音楽家としての矜持が詰まっていると六川氏は語ります。

 「米軍の軍楽隊は25人から30人くらいの小規模な編成ですが、とにかく音が素晴らしい。なぜかと言えば、そのチームの中に音楽の先生も入って演奏しているからなんです。その圧倒的な迫力、響きの良さは、やはり横浜ならではの光景でしょうね」

 かつては、神奈川県警、横浜税関、横浜市消防局が合同で180人という大編成を組み、街を震わせたこともありました。六川氏はそうしたダイナミックな「音作り」の楽しさを熟知しているからこそ、観客にもその迫力を一番の特等席で味わってほしいと願っています。

意外な職人芸:巨大フロートを支える「電線担当」の眼差し

 パレードを彩る豪華なフロート。数十年前には「1台4,000万円」もかけていた時代があったとか。高さのある装飾が施された車両が街を抜ける際、沿道の人々がまず目にすることのない「プロの仕事」があります。六川氏が「ぜひ注目してほしい」と語るのが、車両の周囲で長い棒を手にしているスタッフの存在です。

 「あれは、フロートの装飾が電線に引っかからないように、棒で電線を持ち上げたりして誘導している担当なんです。歴史ある横浜の街並み、特に古い通りを抜けるパレードでは、彼らの誘導がなければ巨大なフロートは一歩も進めません。こういう裏方の動きも、知っているとパレード観賞がもっと面白くなりますよ」

 そのパレードの進行には、今も変わらぬ職人芸が、この3.4キロの安全な進行を支えています。きらびやかな装飾のすぐそばで、街のインフラと格闘しながらパレードを守る。そんな「横浜の裏方の意地」は、大きな見どころのひとつと言えるでしょう。

キッズの情熱:母親たちの手作り衣装が物語る「地域の愛」

 パレードの序盤、街を華やかに彩るのは子供たちの「キッズパレード」です。このセクションには、商業的なイベントとは一線を画す、横浜のコミュニティの温かさが凝縮されています。

 「キッズパレードでぜひ見ていただきたいのは、お母さんたちの手作り衣装です。それぞれのチームが、我が子の晴れ舞台のために一生懸命に衣装を仕立てて参加している。最近は少子化の影響で町内会同士が合同でチームを作ることも増えましたが、それでも『自分たちの街の子供を送り出す』という空気感は変わっていません」

 実行委員会では、1991年に有志がパレードの本場、アメリカ・ポートランド視察を実施。そこで学んだ通り、3.4キロもの長丁場のパレードで子供たちが疲れ果ててしまわないよう、早めに出発させる現在のスケジュールが確立されました。家族総出で応援し、手作りの衣装で胸を張って歩く。そんな市民祭としての原風景が、このキッズパレードには今も息づいています。

コース徹底攻略:フレッシュな序盤から、粘りの“大人力”が光る終盤へ

ザよこはまパレードの更新場面の画像
迫力の迫力の音楽、どこのポイントで聞く?

 山下公園から伊勢佐木町まで、全長3.4キロにおよぶ現在のコース。六川氏は、場所によってパレードの「質」が劇的に変化すると解説します。

 まず、スタート地点となる【山下公園前〜海岸通り】。ここは演者たちの体力が最も充実しており、最も華やかな姿が見られるエリアです。

 「スタート直後はみんなフレッシュですからね。マーチングバンドも、複雑な隊列移動(ドリル)を披露する余裕がある。ドーンと勢いのある姿を観るなら、やはりこのエリアが一番でしょう」

 そして、パレードが街の空気に馴染み、観客との一体感が高まってくるのが【馬車道】エリアです。商店街が立ち並び、距離感も程よいこの場所は、パレードの「熱」をダイレクトに感じられるポイントです。

 しかし、六川氏が長年の解説者人生の中で最も惹かれるのは、意外にもゴール間近の【伊勢佐木町】エリアだと言います。

 「終盤の伊勢佐木町あたりに行くと、距離も長いですから、演者たちにも明らかな疲労が見え始めます。音を出すのも、歩くのも、本当は相当きついはずなんです。でも、そこを気力でカバーして、最後までやり抜こうとする。その必死な姿、私はそれを『大人力(おとなぢから)』と呼んでいるんですが、その粘り強さこそが観る人の心を打つんです。フレッシュな序盤とはまた違う、魂のこもったパフォーマンスがそこにはあります」

 パレードは、ただ「綺麗なもの」が通り過ぎるだけのイベントではありません。それは、参加する一人ひとりが限界に挑み、横浜という街を愛する気持ちを体現する場でもあります。演者の表情の変化、そして街の空気が変わっていく瞬間を追いかけながら、自分だけのお気に入りスポットを見つける。それこそが、パレードを支え続けてきた六川氏が教える、最高に贅沢な「よこはまパレード」の楽しみ方です。

(イベント紹介)
開港記念みなと祭 ザよこはまパレード(国際仮装行列)

開催日:2026年5月3日(日・祝)※荒天の場合中止
主催:国際仮装行列実行委員会
コース
キッズパレード(全長1.4㎞)
山下公園中央口⇒開港広場前⇒横浜税関前⇒新港橋⇒赤レンガ倉庫前⇒万国橋交差点

スーパーパレード(全長3.4㎞)
山下公園中央口⇒開港広場前⇒横浜税関前⇒新港橋⇒赤レンガ倉庫前⇒万国橋⇒馬車道商店街⇒伊勢佐木町1丁目⇒伊勢佐木町6丁目

規模:63団体、約2,800名が参加

関連イベント:「あいすくりーむ発祥記念イベント」チャリティイベント(5月9日開催、アイスクリーム5000個配布)

ザ よこはまパレード 公式サイト(横浜商工会議所) https://www.yokohama-cci.com/about/index.html

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大沢野八千代

1983生まれ。横浜の対岸の千葉市で、横浜ナンバーに憧れを抱いて育ったフリーランスの編集者・ライター。ハマスタでササカマにかじりついているところをテレビ中継で抜かれ、家族から指摘された過去を持つ。Googleマップのランクは7。

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