“地元の星”武藤ゆらぎ選手が語る横浜市民のスポーツ愛「僕も、この街の希望に」

シーズン最終盤にインタビューに応じてくれたのは、横浜キヤノンイーグルスの期待の若手、武藤ゆらぎ選手だ。日本ラグビー界の最高峰「リーグワン」において、名立たる司令塔たちが凌ぎを削る中、彼は「横浜出身」という誇りを胸にピッチを駆け抜けてきた。 取材場所は、彼が子供の頃から見上げてきた日産スタジアム。今回は、競技の枠を超え、一人の「横浜市民」としての素顔、そして彼が愛するこの街のスポーツ文化について、たっぷりと語ってもらった。
【インデックス】
・「神奈川」ではなく「横浜」出身。強すぎる地元愛のルーツ
・上大岡、金沢区、小机競技場…地元から日産スタジアムへ
・横浜市民のスポーツ愛は「日常」にある
・【お出かけ情報】来季はここを見て! 武藤選手流・スタジアムの楽しみ方
・横浜キヤノンイーグルス チーム紹介
「神奈川」ではなく「横浜」出身。強すぎる地元愛のルーツ
ーー 武藤選手といえば、ファンやチームメイトの間でも「横浜愛」が強いことで知られていますね。ご自身のルーツについて教えてください。
ゆらぎ選手:そうですね。出身を聞かれたら、神奈川県ではなく「横浜」と答えています。これは横浜市民あるあるかもしれませんけど、やっぱり地元には特別な思いがありますね。今でも「横浜市歌」は完璧に歌えます。小学校の時に叩き込まれましたから。
ーー 生粋のハマっ子ですね。子供の頃、特にお気に入りだった場所や思い出はありますか?
ゆらぎ選手:小中学生の頃は、本当に目的もなく桜木町周辺を走り回っていました。友達と鬼ごっこをしたり、ただぶらぶらしたり。今でも車を運転していて、ワールドポーターズのあの橋を渡る瞬間は「ああ、横浜に帰ってきたな」って強く実感します。あの景色は僕にとっての原風景というか、一番落ち着く場所ですね。
ーー 今回、港南区や南区あたりのローカルな話題も出ると伺いましたが……。
ゆらぎ選手:ああ、上大岡の「カミオ(赤い風船)」周辺ですね!あそこは高校生の頃のたまり場というか、ボウリングをしたり映画を観たり。あの独特のローカルな賑やかさは、横浜の中でもまた違った魅力があると思います。
上大岡、金沢区、小机競技場…地元から日産スタジアムへ
ーー ラグビーを始めたきっかけも、横浜だったんですよね。
ゆらぎ選手:はい、横浜ラグビースクールです。そこから大阪府の高校へ行って、また大学で神奈川県に戻ってきて……。そう考えると、僕のラグビー人生の節目にはいつも横浜の景色があります。
ーー 今、ホストスタジアムである日産スタジアムのピッチに立つ時はどんなお気持ちですか?
ゆらぎ選手:小学生の時、日産スタジアムのすぐ隣にある小机競技場(現・日産フィールド小机)で県大会を戦ったことがあるんです。その時は負けてしまって、すごく悔しい思いをしながらスタジアムを見上げていました。そんな僕が、今ではその隣の大きなスタジアムでプロとして戦っている。当時の自分に教えてあげたいくらい、感慨深いものがありますね。
ーー 地元のローカルな話題もひとつ。思い出の場所を教えてください。
ゆらぎ選手:上大岡駅の周辺ですね。映画館に行ったり、ボウリングをしたり。当時は地元から金沢区の小中学校に越境して通っていたので、バスで上大岡に出て遊んでいました。あのあたりの賑やかな雰囲気は、僕の「地元の思い出」が詰まった場所です。
横浜市民のスポーツ愛は「日常」にある

ーー 「JAN!」では横浜のスポーツを多角的に紹介していますが、武藤選手から見て「横浜のスポーツファンの熱量」はどう感じますか?
ゆらぎ選手:横浜は本当にスポーツが街に溶け込んでいると感じます。週末ともなれば、横浜DeNAベイスターズや横浜F・マリノスなどさまざまなスポーツのユニフォームを着た方が混じり合って、当たり前のように電車に乗ったり街を歩いたりしています。あの光景は、他の都市ではなかなか見られない、横浜ならではの素晴らしい文化だと思います。
ーー ラグビーやイーグルスも、その「横浜の日常」の一部になりつつある実感はありますか?
ゆらぎ選手:試合会場に行くと、かつて僕も所属していた横浜ラグビースクールの子供たちがたくさん応援に来てくれているんです。それを見ると「あ、僕も昔こうだったな」と懐かしくなりますし、同時に彼らの目標でいなければいけないという責任を感じます。僕自身、横浜出身の選手として活躍することで、もっとこの街の良さを広めていきたいと強く思います。
【お出かけ情報】来季はここを見て! ゆらぎ流・スタジアムの楽しみ方
ーー 今シーズンの横浜開催は終了となりましたが、来シーズンの開幕を心待ちにしている読者に、武藤選手流の「スタジアムの楽しみ方」をアドバイスいただけますか。
ゆらぎ選手:日産スタジアムは、観戦の前後に、景色を見ながらスタジアムグルメを食べたり、少し足を伸ばしてみなとみらいまで行けたりと、お出かけの拠点として最高です。ラグビーって難しく思われがちですけど、まずはあのスタジアムの開放感を味わいに来てほしい。そして、僕らが見せるスピーディーで「面白いラグビー」を感じてもらえたら嬉しいです。
ーー 最後に、横浜のファンに向けてメッセージをお願いします。
ゆらぎ選手:横浜出身の選手として、僕が活躍することで「横浜っていい街だな、スポーツが熱いな」と思ってもらえるのが一番です。来シーズンはさらに進化した姿を見せて、勝利を届けたいと思います。ぜひ、日産スタジアムやニッパツ三ツ沢球技場に遊びに来てください!
インタビュー中、「横浜市歌」の話題で一気に少年の頃に戻ったような笑顔を見せてくれた武藤選手。その一方で、チームの勝利と街への貢献を語る眼差しは、次世代を担うアスリートとしての力強さに満ちていました。
「横浜の良さを広めるのは僕の使命」と言い切る彼がいる限り、横浜のラグビー熱はさらに高く、熱くなっていくに違いありません。今から来シーズンの開幕が待ち遠しくてたまりません。
(横浜キヤノンイーグルス)
1980年創部のラグビーチーム。2021年より横浜市をホストエリアとして活動を開始。日本代表のスター選手も数多く在籍し、リーグワン屈指の攻撃力を誇る。ラグビーの枠を超え、地域イベントや清掃活動など、横浜の街に根差した活動を精力的に展開中。
公式サイト:https://www.canon-eagles.jp
(プロフィール)
武藤ゆらぎ(むとう・ゆらぎ)
2001年4月30日、神奈川県横浜市出身。保土ヶ谷公園ラグビー場を拠点とする横浜ラグビースクールで競技をスタート。東海大仰星高校(大阪)時代には全国高校ラグビー大会で優勝を経験し、東海大学進学後は1年時から正SO(スタンドオフ)として活躍。2024年に地元・横浜をホストエリアとする横浜キヤノンイーグルスへ入団。高い戦術眼とクリエイティブなパス、自ら隙を突くランを武器に、次世代のアタッカーとして注目を集める。生粋の「ハマっ子」であり、出身地を問われれば「神奈川」ではなく必ず「横浜」と答える。今も「横浜市歌」を愛唱し、上大岡の「カミオ」を思い出の場所に挙げるなど、深い地元愛を持つ。目標は、横浜出身の選手として活躍し、地元の子供たちの憧れの存在になること。












