JAN!イベントセンター南のダンススタジオ「CYGNET」が挑む3.4km

横浜パレード初出場!センター南のダンススタジオ「CYGNET」が挑む3.4km

CYGNETの舞台画像
CYGNETの華やかな舞台がついにパレードに!!

 2026年5月3日、第74回「横浜開港記念みなと祭 ザよこはまパレード(国際仮装行列)」が開催されます。今年、初出場として注目を集めるのが、横浜市都筑区で33年の歴史を持つ「ダンススタジオ CYGNET(シグネット)」です。 これまで何度も出場の機会がありながら、なぜ今年だったのかーー。代表の白鳥和美氏が“横浜のパレード”という舞台に抱いてきた敬意と、表現者としてのこだわり、そして地元・横浜への想いを伺いました。

【目次】
■50年以上前から続いていた「パレード」との数奇な縁
■33年間の準備期間——なぜCYGNETは「今」動いたのか
■「3.4キロ、全員がセンター」というパレードの恐怖と快感
■選抜50名が表現する「ムーラン・ルージュ」と横浜の赤
■「100のレッスンよりひとつの本番」が子供たちの未来を変える
■店舗・スタジオ情報

50年以上前から続いていた「パレード」との数奇な縁

スクールメイツ時代の白鳥さん画像
スクールメイツ時代フロート上の白鳥さん

「実は、私自身とパレードの出会いは半世紀近く前まで遡るんです」

 CYGNET (シグネット)代表、白鳥さんは懐かしそうに目を細めて語り始めた。彼女が初めて「ザ よこはまパレード」を経験したのは1975年。もともと、かの「スクールメイツ」として活動されていた白鳥さんは当時、一人の出演者としてフロートに乗り、横浜の街を練り歩いたことがあるのだそう。その時に感じた潮風、沿道の熱狂、街全体が自分たちを祝福しているかのような高揚感は、白鳥さんの心に強烈な刻印を残した。

 「その後、1993年に都筑区や青葉区の周辺でダンススクールを開きました。その頃から、約30年の間に、私の後輩たちがナビゲーターとして出演する機会もありました。2004年の開港150周年プレイベントでは、赤レンガ倉庫のステージに立たせていただいたりしたことも。横浜に移り住んで、スクールを開いてからを振り返ってみると、人生の要所要所で『横浜パレード』という存在が常にすぐそばにあった気がします」

 しかし、これほどの接点がありながら、スタジオとして「出場」の二文字を刻むまでには、そこからさらに長い歳月が必要だった。

33年間の準備期間——なぜCYGNETは「今」動いたのか

 ダンススタジオCYGNETは、都筑区センター南の地域に密着して今年で33年目を迎える。横浜のダンススタジオとしては屈指の歴史を誇るが、パレード出場に関しては、これまで何度も「あと一歩」で断念してきた過去がある。

 「音響のシステムがまだ整っていなかったり、自分たちが目標にしていた別の大会と日程が重なったり。出たい気持ちはずっとありましたが、タイミングが微笑んでくれなかったんです」

 昨年も、実は出場寸前まで話が進んでいたが、同時期に別のイベントへの出演オファーがあり「地元のために」という想いを最優先にパレードを辞退した白鳥さん。だが、その決断こそが、今回の初出場に向けた最高の「溜め」となった。

 「33年間、地域でしっかりと根を張ってきました。技術も、メンバーの絆も、そして地元からの信頼も。今このタイミングで出場するのは、運命というより、ようやく私たちがパレードという舞台に相応しいチームに仕上がった、ということなのかもしれません」

「3.4キロ、全員がセンター」というパレードの恐怖と快感

 白鳥さんがパレードに対して抱いている感情は、憧れだけではない。驚くべきことに、彼女は「恐怖」という言葉を口にする。「ステージには照明があり、袖があります、お客さんからの視線も一方向です。でもパレードは、逃げ場が一切ない3.4キロの生身のステージ。お客さんの目の前を通り過ぎるその一瞬、踊っている子たち全員が『主役であり、センター』なんです。これほど残酷で、これほど魅力的な舞台は他にありません」

 チケット代を払って観に来る観客とは違い、道ゆく人々は3秒も持たずに興味を他へ移してしまう。そのシビアな観衆をどう振り向かせ、最後まで惹きつけ続けるか。

 「手を振ってニコニコ歩くだけでいいと思っている子がいたら、これから徹底的に『指導』しますよ(笑)。見ている人の心をスカッとさせる。勇気を与える。それがプロのエンターテインメントですから。私たちのダンスは、街のエネルギーに負けない強さを持っていなければならないんです」

選抜50名が表現する「ムーラン・ルージュ」と横浜の赤

CYGNETが出演した「ワールドフェスタヨコハマ2025」の画像
ムーランルージュ―をイメージした衣装

今回、CYGNETが初出場のテーマに選んだのは、フランス・モンマルトルの「ムーラン・ルージュ」だ。かつて白鳥さんがフィットネスの大会で日本一を勝ち取った際の伝説的なプログラムを、パレード用に大胆にアレンジした。

 「赤いバラは、横浜市の花。その『赤』をテーマに、圧倒的な彩りをパレードの列に添えたいと思っています。衣装も振付も、これまでのCYGNETの歴史の集大成です」 選抜された50名のダンサーたちは、都筑の街で練習を重ねている。時にはスタジオを飛び出し、河川敷や近隣の広いスペースを探しては、パレード特有の「横に並んで並走する」という独特の距離感を体に叩き込んでいるという。「センター南という街で育った子たちが、歴史ある山下公園から伊勢佐木町までを踊り抜く。都筑の子供たちのエネルギーが、横浜の歴史的な景観と混じり合った時、どんな化学反応が起きるのか。私自身も楽しみで仕方ありません」

「100のレッスンよりひとつの本番」が子供たちの未来を変える

 白鳥さんの視線の先には、常に「子供たちの成長」がある。3.4キロを全力で踊り抜いた後の景色は、それまでの景色とは全く違って見えるはずだと彼女は信じている。「100回のレッスンを重ねるより、1回の本番の緊張感の方が人を成長させます。ましてやこの『ザよこはまパレード』という巨大な祭りの熱量。沿道からの何万という歓声と視線を浴びる経験は、彼らが大人になってから『自分はあの横浜を踊りきったんだ』という揺るぎない自信になるはずです」

 33年前、白鳥さんが一人で立ち上げた小さなスタジオが、ついに横浜のメインストリートをジャックする。

 取材後にも「県外から来た者にとって……否! CYGNETにとって、このパレードに参加する事が出来て、やっと一人前のハマッ子になれるような……そんな気がしてきました」と、力強いコメントを添えてくれた白鳥さん。

 初出場という最大のインパクトを持って、CYGNETの真っ赤な情熱が、2026年5月3日の横浜を鮮やかに塗り替えることだろう。

【店舗・スタジオ情報】

ダンススタジオCYGNET
住所:横浜市都筑区茅ケ崎中央(センター南駅徒歩5分)
都筑区で30年以上の歴史を誇る名門ダンススタジオ。ジャズ、ヒップホップ、バレエなど多岐にわたるジャンルで、幼児からプロ志望、シニアまで幅広い層が「本物」を学んでいる。

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大沢野八千代

1983生まれ。横浜の対岸の千葉市で、横浜ナンバーに憧れを抱いて育ったフリーランスの編集者・ライター。ハマスタでササカマにかじりついているところをテレビ中継で抜かれ、家族から指摘された過去を持つ。Googleマップのランクは7。

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